地下水位の高低 (15~100cm一定あるいは変動, 無潅水) がダイズ個葉 (主茎上位の活動中心葉) のみかけの光合成速度, 気孔コンダクタンス, 水ポテンシャルに及ぼす影響を明らかにするために, ライシメータを用いて茨城県つくば市 (1991年:多雨, 1992年:少雨), および広島県福山市 (1992年) において調査した. その結果, 降雨条件によって地下水位処理による影響が異なった. すなわち, 降水量が多かった1991年 (つくば市) では, 長期間にわたって降雨がなく土壌が乾いた状態では, 地下水位が高い区ほど水ポテンシャル, 気孔コンダクタンスが高かったが, みかけの光合成速度に処理間差はみられなかった. 一方, 降雨後で土壌が湿った状態では, みかけの光合成速度, 葉の水ポテンシャルは, 地下水位が低いほど高かった. 降水量が少なかった1992年は, つくば市と福山市ともに地下水位が40cmの時に光合成速度, 気孔コンダククンスとも最も高かった. また, 葉の水ポテンシャルは全般に地下水位が低いとやや低下する傾向がみられた. 以上の結果は,地下水位はダイズ個葉の光合成速度, 水分生理に大きな影響を与えること, およびその影響は降雨状況で異なることを示している.