日本作物学会紀事
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野菜用水耕システムを利用した水稲のマット水耕育苗における培養液の窒素組成の違いが苗の生長に及ぼす影響(栽培)
江原 宏森田 脩森本 智恵川嶋 みず恵末松 優
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2001 年 70 巻 3 号 p. 359-364

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抄録
野菜用水耕システムを利用した水稲のマット水耕育苗において, 培養液の窒素組成の違いが苗の生長に及ぼす影響について調査した.木村氏B液をベースとして窒素源にNH4-NとNO3-Nを28%:72%, 44%:56%, 72%:28%, 100%:0%の比率で施用した結果, NO3-Nの比率が高いほど草丈, 最長根長, 根乾物重が大きくなる傾向が認められた.しかし, 土耕苗と同程度の草丈が確保されたNO3-Nリッチの窒素組成では, 根長が従来の育苗箱を用いた土耕苗よりも明らかに長かったことから, ルートマットが厚くなりすぎて機械移植に用いた場合には支障をきたすことが危惧された.そこで, 育苗初期には培養液を施さず, 育苗中期にNO3-Nリッチの培養液(NH4-N:NO3-N=28%:72%)を施用し, 育苗後期には窒素源をNH4-Nのみとし, このような培養液の施用が苗の草姿に及ぼす影響を検討した.その結果, 十分な草丈を持ちながらも, 比較的根長が短い特徴を有する苗が得られ, 移植後の初期生長は土耕苗と同様の経過を示した.
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