日本作物学会北陸支部会報
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水稲稚苗養成過程にみられる白化現象の検討
松本 範裕畠山 武佐藤 勉
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1972 年 6 巻 p. 1-5

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抄録

1.出芽日数が長くなるに従い, 出芽後の幼芽は軟弱徒長し, 芽色も黄化の度合が強くなる。又白化葉は出芽日数が長くなる程, その出現は多くなる傾向を示したが, 無被覆のように出芽後直射日光をあてた場合には出芽日数2.5日でも白化葉を出現した。2.白化葉の出現を葉位別に見ると第1葉については出芽処理開始8日目で黄化を呈したものは, 寒冷沙被覆区を除き枯死にむかう。第2葉では白化葉の出現は多くなるが枯死するに至らず, 白化葉の出現部位を除き緑化しうる。3.出芽日数が4.5日以上になると葉緑素と乾物重の低下を来たすようであるが, 葉色の濃淡は枯死葉, 白化葉の多少と透光率によって影響されるようである。4.被覆資材による白化葉, 枯死葉の出現は透光率67%の寒冷沙2重被覆で認められなかったが, 葉色, 乾物重は無被覆, ビニール被覆より劣った。5.以上の結果より最適出芽日数は2.5日〜3.5日と見られ, 4.5日の場合には葉緑素, 乾物重の回復が少ない。しかし4.5日以上でも透光率70%以下の被覆物を用いることによって白化現象を防ぐことができるが, その場合葉緑素, 乾物重の低下を防ぐため, 硬化期間にできる限り日照にさらす必要がある。従って, 実用的には寒冷沙+ビニールの2重被覆によって出芽日数2.5日〜3.5日で白化現象の出現を軽減あるいは防止することができると思う。

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© 1972 北陸作物・育種学会
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