日本作物学会北陸支部会報
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6 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 松本 範裕, 畠山 武, 佐藤 勉
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 1-5
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    1.出芽日数が長くなるに従い, 出芽後の幼芽は軟弱徒長し, 芽色も黄化の度合が強くなる。又白化葉は出芽日数が長くなる程, その出現は多くなる傾向を示したが, 無被覆のように出芽後直射日光をあてた場合には出芽日数2.5日でも白化葉を出現した。2.白化葉の出現を葉位別に見ると第1葉については出芽処理開始8日目で黄化を呈したものは, 寒冷沙被覆区を除き枯死にむかう。第2葉では白化葉の出現は多くなるが枯死するに至らず, 白化葉の出現部位を除き緑化しうる。3.出芽日数が4.5日以上になると葉緑素と乾物重の低下を来たすようであるが, 葉色の濃淡は枯死葉, 白化葉の多少と透光率によって影響されるようである。4.被覆資材による白化葉, 枯死葉の出現は透光率67%の寒冷沙2重被覆で認められなかったが, 葉色, 乾物重は無被覆, ビニール被覆より劣った。5.以上の結果より最適出芽日数は2.5日〜3.5日と見られ, 4.5日の場合には葉緑素, 乾物重の回復が少ない。しかし4.5日以上でも透光率70%以下の被覆物を用いることによって白化現象を防ぐことができるが, その場合葉緑素, 乾物重の低下を防ぐため, 硬化期間にできる限り日照にさらす必要がある。従って, 実用的には寒冷沙+ビニールの2重被覆によって出芽日数2.5日〜3.5日で白化現象の出現を軽減あるいは防止することができると思う。
  • 香田 三厳, 森山 寛, 小杉 俊秋
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 5-8
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    新潟県における水稲の収量に対し, 技術効果と気象効果について, 武藤氏の方法により郡別に分析を試みた。(1) 規準年に比べ総合効果が最もあがった地域は魚沼で, この理由は技術効果の外に水田面積拡張による増加が大きい。(2) 技術効果は各郡とも近年著しく高まり, 特に下越, 佐渡は顕著である。これに対し中越, 特に南蒲原郡はこの効果が比較的低い。(水害などの関係も影きょう)(3) 基準年に対する10アール当り収量の増加分から技術, 気象両効果の関係をみると, 良気象年次では技術効果の大きい(平年10a当収量が多い)地帯ほど気象効果も大となるが不良気象年次では前者と逆に技術効果の大きい地帯ほど気象効果はあがらないようである。
  • 国武 正彦, 成保 俊一
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 8-10
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 信之助, 吉岡 昌二郎
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 11-14
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    1.13種の寒地型イネ科牧草類を用いて生育特性を比較し, 主として北陸の低標高地帯における季節生産性について検討した。2.2カ年合計収量はトールフェスク>オーチャードグラス>リードキャナリーグラスの順に上位を占めたが, 平衡的な季節生産性の点ではトールフェスク, リードキャナリーグラスがすぐれていた。3.上位3草種について検討した結果, 季節的な収量の変動は単位面積あたり茎数および一茎重の変動と関連しているが, それぞれ草種毎に違いが認められ, 特にリードキャナリーグラスの盛夏以降の収量が高い水準で維持されたのがいちじるしく特徴的であった。4.その他の草種では夏枯れの影響がいちじるしく, そのことが季節生産性および維持年限に大きく影響するものとみられた。5.各草種とも雪害による直接的な被害は軽るく, むしろ融雪後の急激な生育の点で季節生産性に大きく影響するものと思われる。
  • 青田 精一, 橋本 勉
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 14-17
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    ポットを使用して, イタリアンライグラスの残茎根を田植2週間前, 1週間前, 当日に鋤込み, 田植前処理として湛水と畑状態を設け, 田植後は湛水と間断排水操作を行なって, 鋤込みが水稲の生育相におよぼす影響を調査した。1) 2週間前に鋤込んだ区のうち, 田植までの2週間を畑状態にした区では無鋤込区とほとんど変らない順調な生育を示し, 分けつの夭折も少ない。しかし田植までの2週間を湛水した区では著しくEhは低下し, 植え傷み発生, 生育遅延となり, 低位1次分けつが夭折して高節位の2次分けつが増加した。2) 当日鋤込区は植え傷みは少なかったが, 田植後20日頃から生育遅延が現われ, 分けつ発生も抑制された。しかし抑制程度は2週間前鋤込湛水区よりも幅もせまく, 上位の4, 5節位の分けつであり, 軽微であった。3) 1週間前鋤込区はその中間的であった。4) 田植後の水管理による影響は明らかでなかった。
  • 青田 精一, 橋本 勉
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 17-19
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    イタリアンライグラスの鋤込部位を葉, 茎, 根に分けて鋤込み, 跡作水稲におよぼす影響について検討した。1) 田植後の植え傷みは葉部および茎部の鋤込区が大であり, 初期生育も遅れる。しかし, 根部鋤込区は植え傷みも少なく, 初期生育も順調であった。2) Ehの推移は無鋤込区>根部鋤込区>葉部および茎部鋤込区の順でそれぞれ70〜100mv程度の差異がみられた。3) 一株穂重は無鋤込区と根部鋤込区が高く, 茎部および葉部鋤込区が低い。4) 葉部および茎部鋤込区では低位一次分けつの夭折が多くその節位の幅も広い。根部鋤込区は夭折節位も少なく, 無鋤込区と変らない安定した生育を示した。
  • 吉岡 昌二郎, 岡部 俊, 土屋 茂
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 19-21
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    1) 昭和37年に鳥取在来を導入し, 母系選抜を行ない昭和40年に「高系1号」の系統番号をつけたが, 昭和45年4月に「イタリアンライグラス農林3号」として登録され「ワセアオバ」と命名された。2) 早生種であり, 4月下旬〜5月上旬出穂し, 春播性は高い。3) 草型は直立型。草丈, 葉幅, 茎の太さはいずれもやや大。茎数は少ない。4) 越冬前と春の生育が良好であるから, 早期利用に適するとともに乾物率高く, 乾草用にも適する。5) 冠さび病, かさ枯病などに対する抵抗性は中位である。6) 雪腐抵抗性は中位で北陸, 関東以南の水田裏作地帯に広く適応するとみられる。
  • 香田 三厳, 森山 寛, 小杉 俊秋
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 21-24
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    43, 44年の2か年に亘り, 果房数の予測方法として, 一園および一樹を対象とした研究と, 平均一果房重の予測方法および果房の規格別検見より一園の収量を推定する方法について, 研究調査を実施し次のことが判明した。(1) 一園を対象とした果房数の予測方法について, 棚坪方式により任意の調査マス目(枠)の果房数から一園の果房数を推定する方法として枠間果房数の分散からランダムサンプリングの標本数は, 確率68%精度10%として10a当り4m^2区画で6か所調査すればよい。1m^2区の場合はかなり標本数が必要となるので, 標本調査は4m^2を調査基準とした方がよい。(2) 一樹を対象とした果房数の予測方法について, 任意または特定の主枝および亜主枝の果房数からの推定方法を検討した。その結果主枝については樹によってその代表性がまちまちであり実用的でない。次に亜主枝については, 調査対象となる亜主枝数およびその選び方について検討した結果, 着生順位から代表性を求める方法は樹によってはかなり認められたが, 仕立方, 樹令品種などにより相違があり普偏性がなく一般化することは難しい。(3) 平均一果房重の予測方法について, 収穫始期, 盛期, 終期の3回任意に果房重を調査して検討した結果, どの圃場もほぼ類似した分散が得られ, 収穫時期別では盛期の分散が最も小さかった。次に果房の型状から平均一果房重の予測が可能か検討したところ, 特に果房の長さ×肩巾の積と果房重の関係が高く予測に利用できそうである。なお, 収穫前において早期に果房重の予測を目的とし, 果房の肥大追跡調査を行なった。その結果開花期後35日頃の果房の容積重と収穫期の果房重との関係はかなり高い相関を示したが, 実用化には問題がありそうである。以上平均一果房重予測方法として種々検討したが, 検討したのはキャンベルアーリ1品種の成績であり品種の相違などについて今後更に検討したい。(4) 果房の規格別検見調査について, 標本抽出調査に規格別果房数を検見調査をして, 収量を簡易に算出しようと調査検討をしたところ, 事前に房の規格別検見に熟練すればかなり精度が高く実用化されそうである。(5) 以上2ケ年の結果から, ぶどうのように棚作り栽培で平面果樹については柵坪調査で実施すべきであると思われる。なお, 収穫時における調査マス数および果房数については, 確率68, 精度10%の場合の調査枠数, 果房数は下表のようになる。[table]
  • 酒井 友慶, 今井 悌三, 伊藤 公一
    原稿種別: 本文
    1972 年 6 巻 p. 24-26
    発行日: 1972/03/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル フリー
    面積, 地形, 土地所有権などの制約から, 大型機械による造成が困難な場所-とくに個人所有の里山-を開発するための簡易な草地造成技術を確立することを目的とし, 1966年から1969年にかけて, 柏崎市青海川と長岡市鉢伏との2ケ所で, "播種床造成法""イネ科基幹草種の選定""燐酸質肥料の追肥法"について試験を行なった。その結果, 2〜3の成果を得たので, 不足する部分を現在実施中の"豪雪地帯における草地の造成利用技術体系の確立に関する研究"と他場所の研究成果で補ないながら, 簡易草地造成手順について試案を作成したので, 大方の御批判を得たい。
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