抄録
コムギの収量は、登熟期間中の、光合成量に大きく影響され、とくに、葉積(LAD)と高い相関関係を持つと言われている。しかし、LADを求めるには、開花後数回LAIを測定することが必要であり、登熟期間中のコムギの栄養診断、あるいは多収穫系統選抜の指標という観点からは実用的とはいいがたい。そこで、登熟期にコムギの収量性を判定し、生育診断を行うための指標として、稲、大豆等で試みられている、葉色を取り上げ、登熟期間中の葉色の変化と、コムギ収量との関係について、品種間の変異を調べた。前年に行った試験の結果では、育成年の新しい早生短かん品種は、古い品種に比べ、比較的葉色が濃かった。また、開花後21日目における止葉から2、3葉目の緑葉身面積、葉色、クロロフィル含量は一穂粒重や千粒重との相関が高かった。そこで本研究では、登熟期の条件を揃えるために、早生品種を選び、収量と葉色との関係を調べた。