抄録
著者らの研究室では, 栄養生長期を土壌水分の少ない条件で生育した作物は, 湿潤土壌水分条件に生育した作物に比較して根系がよく発達し, その結果, 開花期以後の土壌水分条件が等しくても水ストレスを受けにくいだけでなく, 葉の老化過程の光合成速度の低下程度も小さくなることを明らかにしてきた. しかしこのような根系のよく発達する作物で登熟期間の老化による光合成速度の低下が抑制される機構については明らかでない. そこで本研究は, このような根系の発達程度の異なる作物で, 葉の老化過程における光合成速度の異なる機構を検討する端緒として, 開花期以前を異なる土壌水分条件で生育したトウモロコシの登熟期間中の老化による緑色程度と光合成速度の低下を葉位に着目してまず比較した.