著者らは、水稲の生育や収量形成における根系の役割を考察するため、根系の生理的活性の指標として、出液現象に着目しながら研究を進めている。すなわち、出液速度の日変化、生育に伴う推移、根量との関係などについて検討する過程で(森田, 1998)、収量レベルと出液速度との間に対応関係が認められる例があった(森田ら, 1997;Songmuang et al., 1997)。そこで、水田で栽培した水稲を対象に、とくに出穂期以降における登熟と出液速度の推移の関係について検討したところ、両者の間に密接な関係が認められた(森田・阿部, 1999a, b)。本研究では、若干の処理を行ない、異なる収量レベルで登熟と出液速度の関係について検討した。