抄録
光合成産物を供給する器官と利用貯蔵する受容器官とが相互に密接な関係があることはよく知られており、コムギ、トウモロコシ、ダイズ、イモ類などを用いてこの関係の生理的機構が研究されている。しかしイネについて供給器官である葉身の光合成と受容器官である穂との関係を特に個体全体の乾物生産にも着目しつつ検討した研究はほとんどない。本研究は1/2000aのポットに常法に従って生育させた水稲品種日本晴を用いて、出穂期に穂を切除し、その後の乾物重の変化を器官別に測り、同時に主として止葉の光合成速度の変化を測定した。