抄録
橈骨近位に発生した巨細胞腫に対して, フランス・トルニエ社製の bipolar 型の人工橈骨頭を用いて再建術を行った症例を報告する。症例は73歳の女性である。約2年間左肘の疼痛を訴えていた。単純X線像で嚢胞性変化を認め, needle biopsy で巨細胞腫と診断された。平成11年2月25日, 腫瘍切除術と人工橈骨頭置換術を施行した。術後8カ月経過したが, 腫瘍の再発はなく, 脱臼も認めない。疼痛は消失し, ROMも改善した。巨細胞腫は, 再発率が高く治療が困難なことも多いが, 人工橈骨頭置換術は有用な再建術であると思われる。