抄録
緊急度判定支援システムは,Canadian Triage and Acuity Scale(CTAS)をもとに日本臨床救急医学会,日本救急看護学会,日本救急医学会,日本小児救急医学会の監修を受け,2012年に日本の医療現場に即したJapan Triage and Acuity Scale(以下JTAS)として開発された。同年4月には「院内トリアージ実施料」として全年齢層を対象として診療報酬が新設された。日本臨床救急医学会のデータベースでは,CTAS/JTASプロトタイプ研修として始まった2010年から2014年までに報告されている開催数は143件(2016/5/8現在)である。診療報酬として算定され4年目となる現時点での受講者の意識調査を行った。動機は,仕事上および個人的興味とそれぞれであったが,スキルは研修受講によって獲得されており,JTAS研修の目的は達成されていた。研修後のスキル活用については,職場の理解,医師との連携が必須であると考えていることが明らかとなった。実際の症例で事例検証を行う中で,優先順位決定の質の向上とともに,各部署の理解を得ることが緊急度判定の質の向上にもつながることが示唆された。