Journal of Clinical Simulation Research
Online ISSN : 2433-054X
原著
ケニアWest Pokot地方の医療施設における緊急産科・新生児ケア(BEmONC)サービスの評価
Sum Jerotich Tecla Boibanda FranklinAyuku DavidToo K. Jackson
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 7 巻 p. 25-39

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抄録
【背景・目的】ケニアを含む低所得国での妊産婦および新生児死亡の多くは,先進国においては予防可能な原因に起因する。緊急産科・新生児ケア(BEmONC)は,母親と新生児死を防ぐため医療従事者に技術,救命救急措置を提供整備することを目的とした統合戦略である。本研究は,ケニアのWest Pokot地方でのBEmONCの影響を評価した。【方法】無作為に選定された49の保健医療施設についてBEmONCの評価を行なった。コロンビア大学でカスタマイズされた母体死と障害(AMDD)ツールを使用した定量的なデータと,BEmONC観察チェックリスト,詳細なインタビューを用いた定性的データを収集し解析した。【結果】都市部ではすべての施設でBEmONCサービスを提供する体制が整っていたのに対し,農村部ではわずか15.8%でしか整備されていなかった。インタビューから得られたBEmONCサービス提供における課題としては,人員不足(92.6%),供給設備の不足(63%),インフラの不足(44.4%),輸送と通信の非効率(69%),不安(42.9%)が挙げられた。【結論】都市部の施設はBEmONCサービスを提供する準備が整っていたが,農村部では十分ではなかった。このことから,農村部の医療施設での持続可能な機器や消耗品等サプライチェーン管理の改善,プロパイダーの知識と医療従事者の能力を維持するためのトレーニングが必要である。
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© 2017 日本災害医療教育研修協会
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