日本交通科学学会誌
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有害事象自発報告データベース(JADER)からみた医薬品による交通事故
安藤 剛松元 一明横山 雄太木津 純子
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2017 年 16 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

慢性疾患や急性疾患により、治療薬を服用しながら自動車運転をしている患者は多いが、服薬による交通事故の実態は不明である。今回、医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用データベース(JADER)を用いて医薬品による交通事故の実態について調査した。2004年4月〜2016年3月において、JADERの総登録件数は390,669件で、有害事象としての交通事故は342件であった。被疑薬176薬品のROR(Reporting Odds Ratio)および95%信頼区間(CI)下限値を算出した結果、82薬品においてCIの下限値が1を超えており因果関係が示唆された。被疑薬としては、プラミペキソール塩酸塩水和物が47件と最も多く、そのうち36件が突発的睡眠が併発有害事象であった。次いでゾルピデム酒石酸塩46件、プレガバリン35件、バレニクリン酒石酸塩19件、スルピリド13件等であり、添付文書に自動車運転等に関する警告や禁止が記載されている医薬品が主であった。高齢化が進み、自動車運転に対する療養指導、服用すべき医薬品に関する適切な服薬指導は益々重要となる。自動車運転をする患者に対しては、医師や薬剤師が適切にアドバイスする必要があり、その際に、本調査結果は有用な資料の一つとなると考える。

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© 2017 一般社団法人 日本交通科学学会
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