抄録
滋賀県内の交通事故死者数は、過去最悪であった時と比べて4分の1以下にまで減少しているものの、依然として交通事故件数が高い水準で推移していることなどから、より高度な交通事故分析を行うため、本県警察では交通事故分析システムを構築し、平成28年度から本格運用している。同システムは、以前から活用している交通事故発生地点を電子地図上にプロットし、視覚的に事故多発場所を認識させるという手法をベースにし、これに警察活動情報のほか、道路管理者が行う道路環境整備情報などをレイヤとして重畳表示させたうえで、これらとの関連性を分析するという手法が大きなポイントとなっている。今までの交通事故分析は、交通事故情報としての発生状況の属性(路線、時間、事故類型、道路形状等)や当事者の属性(当事者種別、年齢等)のみで分析していたが、電子地図上において事故多発場所(路線、地域)を特定したうえ、事故情報と重畳した他の情報との関連性(事故抑止効果)を分析するPDCAサイクルにより、的確な事故抑止対策が期待される。今後、リンクさせる情報として注目されるのはETC2.0のようなプローブ情報であり、急ブレーキ発生地点情報、渋滞発生地点情報などの情報が、事故とどのように関連しているかを分析することにより、さらに事故抑止を図ることができるものと期待している。