自足的図書館(self-sufficient library)は,こんにちなお,図書館活動の理想的なスタイル,または収集活動が向かうべき目標とされる。だが今世紀を通じて図書館の自足性は後退を続け,とくに近年,学術図書館の分野ではその非自足的な活動を補う4つのシステム-図書館間協力,コンソーシアム,学術情報ユーティリティ,商業的文献供給(CDD)-の役割が顕著になってきた。これについて最近30年間の主な動きを概観しつつ,以下の諸点について観察する:1)なぜ自足性が後退し非自足的活動が強まったのか;2)非自足的活動それ自体はどのように深化・発展してきたのか;3)これらは全体としてどのような方向に向かっているか。さらにこれらのシステムの中で学術情報ユーティリティに注目し,次の点について考察し意見を述べる:1)それは非自足的活動全体の中でどのような位置を占めるか;2)日本におけるネットワーク形態資料の国家的供給はどのようにあるべきか。