認知症ケア研究誌
Online ISSN : 2433-4995
ISSN-L : 2433-4995
自宅で生活する認知症高齢者の認知機能重症度別にみた 口腔清掃自立度の特徴 〜 IADL、ADLとの比較〜
福田 未来佐藤 文美内田 陽子
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 2 巻 p. 93-102

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抄録
【目的】本研究の目的は、在宅認知症高齢者の認知機能重症度別の口腔清掃自立度の特徴を明らかにすることである。【方法】対象者は、看護小規模多機能型居宅介護・小規模多機能型居宅介護を利用し、認知症のある49名である。調査は対象者の自宅および施設で行った。調査内容は基本属性、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、改訂BDR指標、老研式活動能力指標、Barthel Indexであり、聞き取り・生活観察により調査した。分析はHDS-R重症度と口腔清掃自立度、IADL(instrumental activities of daily living)、ADL(activities of daily living)についてカイ二乗検定した。【結果】対象者の平均年齢は83.8±7.4歳、HDS-Rは9.8±6.6点であり、軽度認知症者は12.2%、中等度認知症者は24.5%、重度認知症者は30.6%、検査未実施者は32.7%であった。口腔清掃自立度において、「歯磨き」「義歯着脱」は中等度認知症者・重度認知症者と軽度認知症者を比較し自立者の割合が低い傾向であったが、有意差はなかった。「うがい」は、中等度認知症者は自立者の割合が高く、重度認知症者は非自立者の割合が高かった(p<0.05)。IADLにおいて、「新聞を読む」「若い人に話しかける」は、重度認知症者は非自立者の割合が高かった(p<0.05)。ADLにおいて、「食事」は、軽度認知症者は自立者の割合が高く、重度認知症者は非自立者の割合が高かった(p<0.05)。【結論】「うがい」「新聞を読む」「若い人に話しかける」「食事」の自立度は、認知症が進行しても比較的保たれる特徴であった。看護者は在宅認知症高齢者の自立度を把握し、できることを促すための関わりが重要である。
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