認知症ケア研究誌
Online ISSN : 2433-4995
ISSN-L : 2433-4995
認知症グループホームにおける地域貢献評価尺度・地域交流評価尺度の信頼性と妥当性
長井 万恵井手野 由季林 邦彦 山口 晴保
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2019 年 3 巻 p. 73-83

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抄録
【目的】認知症グループホームにおける事業所の地域貢献と入居者の地域交流の評価尺度を作成し、信頼性と妥当性を検証することを目的とした。 【方法】182事業所の地域貢献と入居者の地域交流への取り組みについて、作成した2つの評価尺度を用いて事業所職員による評価を行った。評価者間の一致性をみる予備調査として、両評価尺度の信頼性を検討した。一致性の検討には、級内相関係数、κ係数を算出した。内的一貫性の検討には、Cronbachのα係数を算出した。 【結果】評価者間の一致性をみる予備調査では事業所の地域貢献評価尺度において、級内相関係数は各設問で0.59から0.95と一致性がみられた。入居者の地域交流評価尺度において、級内相関係数は0.51から0.95と一致性がみられた。κ係数においても、同程度の一致性がみられた。評価尺度の一貫性と構成概念妥当性の検討では両評価尺度におけるCronbachのα係数は良好な内的一貫性を示した。事業所地域貢献評価の因子分析では、認知症行方不明者発見への協力や、地域への出前講座などの、事業所から地域への対外的協力に関連した因子と、地域住民の集まりの場の提供などの、地域への事業所サービスの提供に関連した因子が抽出された。入居者地域交流評価の因子分析では、入居者の自発的な外出による地域交流と入居施設への地域住民の来訪による地域交流、つまりは入居者個人が持つ特性と入居している事業所が持つ特性の2つのマルチレベルの因子が抽出された。 【結論】地域貢献・地域交流評価尺度について、評価者間の一致性がみられ、良好な内的一貫性も示された。構成概念妥当性についても、事業所と入居者の地域への関わりについての評価が可能であることが示された。認知症グループホームにおける地域貢献・地域交流評価尺度として使用可能と考えられるが、さらなる改良についても検討したい。
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