抄録
本研究の目的は、A県内の認知症カフェ事業の運営者を対象とした実態調査を行い、全国調査と比較することで、実績が少ない地域での認知症カフェ事業の運営課題を明らかにすることである。認知症カフェ事業の運営者を対象とし、「認知症カフェの実態に関する調査(以下、アンケート)」を実施した結果、すべての市町村からアンケートの回答を得た(回収率100%)。認知症カフェにおける現状の主な課題は、家族の参加者が集まらない3.3±0.9点、認知症の参加者が集まらない3.0±0.9点、将来的な継続に不安がある2.7±0.9点などが多かった。主な相談内容は、認知症23件、介護保険制度20件、他の家族の介護体験15件が多かった。認知症カフェに参画する主な専門職は、介護支援専門員23件、介護福祉士17件、看護師16件が多く、作業療法士9件や医師1件は少なかった。今後は、認知症カフェの課題解決を図るために、認知症カフェ実績の多い県の情報を集約し、専門職との連携を図る必要があると考える。