2025 年 14 巻 3 号 p. 121-126
本研究では,中切歯の根管治療時あるいは根管治療後の予後に関わる根管形態と副根管について分類し,その発生頻度について明らかにすることを目的とした.東京歯科大学解剖学講座所蔵の日本人下顎中切歯をマイクロCTにて撮像した.その後立体構築を行い,Vertucciの分類を用いて三次元的な歯髄腔形態および副根管の有無について形態分類するとともに,それぞれの発生頻度を算出した.本研究において調べた100本の日本人下顎中切歯歯根は,すべて単根であった.主根管の数による分類では,完全な1根管であるType Ⅰが87.0%,次いで1根管-2根管-1根管であるType Ⅲが10.0%と従来の報告とおおむね一致していたが,舌側根管を有するType Ⅴ,Ⅶも低い割合ではあるが存在していた.また副根管の発生率は36.0%であり,既存の報告より多く認められた.根管の断面形態は,臨床的根管口部では類円形が最も多かったが,それより根尖側では楕円形や涙滴形が多く観察された.
以上の結果から,下顎中切歯の根管形態は単純なものが多いが,舌側根管や副根管が存在する可能性があることに留意した髄質開拡,根管処置を行うべきであることが示唆された.