口腔衛生学会雑誌
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原著
成人におけるフッ化物応用による齲蝕予防効果
郡司島 由香
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1997 年 47 巻 3 号 p. 281-291

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抄録

18歳から31歳までの陸上自衛隊員を対象として,フッ化物を応用した齲蝕予防効果について介入疫学研究を行った。対象者はフッ化物洗口群(洗口群:0.05%NaF,週5回法),フッ化物配合歯磨剤群(歯磨剤群:950ppmF)および対照群の3群に分け,各群の2年間における齲蝕増加量を比較検討した。主な結果は以下のとおりである。1.視診型診査における新生DMFS-indexは洗口群1.96,歯磨剤群2.22,対照群3.17であった。洗口群の新生DMFS-indexは対照群に較べ38.2%小さく,有意な差が認められた(p<0.05)。また,歯磨剤群は対照群より30.0%少なかったが,有意性は認められなかった。2.部位別に齲蝕増加量をみると,臼歯部平滑面において洗口群は対照群に較べ47.5%少なく,その差は有意であった(p<0.01)。3.臼歯部隣接面齲蝕の咬翼法X線評価における新生DeMFS-indexは洗口群0.64,歯磨剤群1.05,対照群1.21であった。洗口群は対照群に較べ47.1%小さく,有意性が認められた(p<0.01)。歯磨剤群と対照群との差13.2%は有意でなかった。以上のことより,成人の齲蝕が増加しているわが国では,成人におけるフッ化物洗口法は非常に効果的な齲蝕予防法であることが示唆された。

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© 1997 一般社団法人 口腔衛生学会
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