口腔衛生学会雑誌
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最新号
令和3年7月
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 宮本 茜, 田村 浩平, 杉本 智子, 葭原 明弘
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 71 巻 3 号 p. 126-135
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

     障害児者の歯科保健は,全身の健康管理において大変重要であるが,その取り組みは施設ごとに大きく異なる.本調査では,新潟県における障害者施設利用者の歯科診療受診状況,および歯科保健取組状況について調査することで,実態および課題を把握し,特に歯科専門職の配置による有効性を評価することを目的とした.

     新潟県内で開設されている全障害児者施設1,021か所を対象に調査を行ったところ,有効回答があった801施設のうち5.1%に歯科専門職(歯科医師,歯科衛生士)が配置されていた.施設における歯科保健管理,歯科医療,および食事介助や摂食機能維持の状況を評価した.ロジスティック回帰分析の結果,歯科専門職の配置がある施設では,歯科健診を受ける機会(調整オッズ比=7.02,95%信頼区間=2.66‒18.55),歯科保健指導を受ける機会(調整オッズ比=4.34,95%信頼区間=1.98‒9.51),歯科疾患予防の取り組み(調整オッズ比=3.97,95%信頼区間=1.50‒10.44),歯科専門職との日常連携(調整オッズ比=5.02,95%信頼区間=2.29‒10.99),歯科専門職への相談(調整オッズ比=6.53,95%信頼区間=2.46‒17.35),および歯科保健がニーズを満たしている割合(調整オッズ比=3.37,95%信頼区間=1.58‒7.15)が有意に高かった.

     障害児者施設における歯科専門職の配置が,歯科保健に有意に関連していることが示唆された.

  • 秋山 理加, 濱嵜 朋子, 岩﨑 正則, 角田 聡子, 片岡 正太, 茂山 博代, 濃野 要, 葭原 明弘, 小川 祐司, 安細 敏弘, 宮 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 71 巻 3 号 p. 136-146
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

     わが国では,年々超高齢者数が増加している.健康度の高い在宅超高齢者の食生活の実態を把握することは健康寿命延伸の有益な知見になると考えられる.そのため著者らは,在宅超高齢者を対象として,食事パターンを同定し,栄養素摂取量,栄養状態および嚥下状態との関連について明らかにすることを目的として本研究を行った.

     新潟市の91歳在宅高齢者86名を対象として,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ),簡易栄養状態評価(MNA-SF),簡易嚥下状態評価票(EAT-10)による調査を行った.食品群別摂取量から主成分分析を行い,食事パターンを同定し,それらと栄養素摂取量の関連を検討した.さらに,各食事パターンと食に関連する因子,MNA-SFおよびEAT-10との関連を比較検討した.

     主成分分析の結果,4つの食事パターンが同定された.それぞれの主成分得点三分位によって栄養素摂取量を比較したところ,肉,魚,野菜類の摂取量が多く,ご飯,パンが少ない「副菜型」では,高得点群ほどたんぱく質やビタミンDなどの栄養素摂取量が多く,栄養状態も良好な者が多かった.また,MNA-SFで低栄養と判定された群では対照群と比べて嚥下機能低下のリスクのある者の割合が有意に高かった. さらに,「副菜型」の食事パターンでは居住形態や共に食事をする人の有無との関連も示唆された.

  • 西條 光雅, 竹下 玲, 松本 勝, 深井 智子, 入江 浩一郎, 北 邦宏, 小野 裕美, 丸山 裕士, 安井 利一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 71 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

     施設入居高齢者において,要介護度や日常生活自立度と義歯の装着状況の関連性の実態を把握するために,これらの基礎的データを得ることとした.特別養護老人ホームに入居する高齢者のうち義歯を必要とする80名を対象として,全身状態に関する項目および口腔の状態に関する項目について調査を行い,義歯使用状況との関連をχ2検定およびFisher直接確率法を用いて検討した.

     入居者の義歯使用状況は,要介護度,食事形態,義歯着脱の自立度,うがいの可否,歯みがきの自立度(p<0.01),Eichner分類(p<0.05)との相関が見いだされた.

     義歯必要者のうち,義歯使用者は口腔に関する自立度が高いだけでなく,生活面での自立度が高いことが示された.

  • 角田 衣理加, 野村 義明, 岡田 彩子, 大塚 良子, 曽我部 薫, 花田 信弘
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 71 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/15
    ジャーナル フリー

     歯の喪失は,個人の歯科疾患の既往歴とライフコース全体にわたる歯科治療歴を反映する.

     本研究では,項目反応理論(IRT)分析とベイジアンネットワーク分析により各歯の喪失に対する感受性と歯の喪失パターンについて検討した.被験者は有料老人ホーム12施設の入居者276名だった.口腔内診査は3名の歯科医師により実施され,歯の残存,喪失とその部位が診査された.統計解析は歯レベルで実施された.被験者のうち,75名(27.2%)が無歯顎者だった.下顎第一大臼歯は最も喪失しており,下顎犬歯は最も残存していた.歯の喪失パターンは上顎下顎を別に分析した.歯の喪失パターンについては,歯の喪失の開始点を上顎は第二大臼歯,下顎は第一大臼歯に設定した.その結果,上顎では最初に第二大臼歯が失われると,2番目に上顎第一大臼歯が失われ,3番目に上顎第一小臼歯が失われる傾向にあった.下顎では,第一大臼歯・第二大臼歯を喪失すると中切歯から第二小臼歯すべての歯の喪失に影響を及ぼす結果であった.

     本研究は,ベイジアンネットワーク分析を適用することにより,歯の喪失パターンを検証した.大臼歯は歯の喪失の開始点である可能性がある.したがって,歯の喪失を回避するには,健康な大臼歯を維持することが重要であると考えられた.

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