抄録
歯科単独の保健事業と老人保健法に基づく総合健康診査(以下:総合健診)を,同一地域の同年代の住民に対し実施し,両保健事業に参加した者の口腔状態を比較検討し,以下の結論を得た。1.歯科単独事業および総合健診への参加者の歯の状況を全体的にみると,未処置う歯数,処置歯数,喪失歯数,DFTindexおよびDMFTindexで総合健診が高い傾向を示した。男性では全体同様に,総合健診が高い傾向を示したが,女性では,両事業間に一定の傾向はみられなかった。2.歯の処置状況および治療必要度について全体でみると,末処置う歯所有者率,要補綴処置者率および要補綴歯数で,若干総合健診が高かった。男性ではいずれの指標でも総合健診に高い傾向がみられたが,女性では,両事業間に一定の傾向はみられなかった。3.CPITNの個人最高codeの分布およびCPITNの各code別sextants数を全体でみると,総合健診がモデル事業より罹患傾向が強かった。また,男女別でも同様であった。