口腔衛生学会雑誌
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原著
中学生における歯肉炎予防プログラムの成果 : 検査者盲検法による高校1年生時点における歯周組織評価
矢野 正敏安藤 雄一平川 敬原沢 正昭小林 清吾宮崎 秀夫
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キーワード: 予防, 歯肉炎, 中学生, CPI
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2000 年 50 巻 5 号 p. 790-797

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抄録

本研究の目的は,検査者盲検法により高校1年生時点における歯周組織の状況を評価することにより,塩沢中学校において1986年度から実施されてきた歯肉炎予防プログラムの成果を検討することである。予防プログラムの内容は,CPI(Community Periodontal Index)の診査結果に基づき,最高コード2以上の生徒に対する歯科医院への受診勧告,1年生に対する歯磨き指導を中心とした歯科保健教育である。対象は,高校1年生548名(男子;249名,女子299名)である。対象者を,塩沢中学校在学中に予防プログラムに参加した170名(男子;83名,女子87名)とそのほかの中学校出身の378名(男子;166名,女子212名)に群別し,両群間の歯周組織の状況および歯科保健行動を比較した。CPIにより歯周組織を診査した結果,塩沢中学校出身者のほうがそのほかの中学校出身者よりも歯周組織の状況が有意に良好であることが確認された。また,歯科保健行動について質問紙調査を行った結果,塩沢中学校出身者のほうが,歯科医院において歯磨き指導や歯石除去を受けた経験のある生徒の割合が高く,日常の歯磨き行動も良好であることが示された。以上の結果より,歯肉炎予防プログラムに参加したことにより,生徒の歯周組織の状況に一定の改善傾向が得られたものと考えた。

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© 2000 一般社団法人 口腔衛生学会
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