口腔衛生学会雑誌
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原著
富山県「むし歯予防パーフェクト作戦事業」における「基本事業」の評価
小椋 正之精田 紀代美竹内 智子
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2001 年 51 巻 5 号 p. 768-777

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抄録

富山県では,平成7年度に「富山県歯の健康プラン」を策定し,プランに基づいた「むし歯予防パーフェクト作戦事業」を展開してきている。当作戦事業は,「基本事業」と「選択事業」の2つから構成される富山県単独の事業であり,補助金というかたちで財政面から市町村の歯科保健対策を支援する事業である。「むし歯予防パーフェクト作戦事業」における「基本事業」の評価を行った結果,以下の知見を得たので報告する。1.平成8〜11年度を通じて「基本事業」を実施した12市町村と実施しない14市町村の3歳児う蝕有病者率を比較検討した結果,フッ化物歯面塗布などを含めて総合的,体系的に事業を展開することで乳歯う蝕の有病状況に寄与し,3歳児のう蝕有病者を減少させる効果があることが示唆された。2.「基本事業」により財政面から歯科保健事業を支援することによって,歯科専門職が配置されていない市町村においても,フッ化物南面塗布などの予防処置を含めた市町村の歯科保健事業が推進することが認められた。3.「基本事業」を実施している市町村と実施していない市町村の人口および1歳6か月児数を比較することによって,「基本事業」は人口規模の小さい市町村では取り組みやすいが,人口規模の大きい市町村で取り組みにくいという問題点が浮き彫りにされた。

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© 2001 一般社団法人 口腔衛生学会
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