口腔衛生学会雑誌
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原著
女子高校生における顎機能異常の自覚症状に影響する要因
竹原 順次中村 公也三宅 亮森田 学
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2004 年 54 巻 3 号 p. 216-223

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抄録

本調査の目的は,顎機能異常の自覚症状に影響を与える因子を習癖,ストレスおよび校合因子の面から明らかにし,学校歯科健診時の歯科保健指導に活用する基礎資料とすることである.分析対象は資料が整った女子高生783名である.関節雑音,だるさ感,顎運動痛および開口制限を自覚している者はそれぞれ35.0,19.2,19.3および14.0%であった.ロジスティック回帰分析の結果,関節雑音の自覚に対して有意な変数は,歯ぎしり(1,2回以上/週),頬・唇かみ(1,2回以上/週)および処置歯数(5本以上)であった.だるさ感の自覚に対して有意な変数は,くいしばり(1,2回程度/月,1,2回以上/週)および頬・唇かみ(1,2回程度/月)であった.顎運動痛の自覚に対して有意な変数は,頬杖(1,2回以上/週),くいしばり(1,2回程度/月,1,2回以上/週),ガムをかむ(1,2回程度/月,1,2回以上/週)およびストレス(1,2回以上/週)であった.開口制限の自覚に対して有意な変数は,頬杖(1,2回以上/週),歯ぎしり(1,2回程度/月),ガムをかむ(1,2回程度/月)および第三大臼歯を除く永久歯現在歯数(27本以下)であった.以上より,顎機能異常は多要因性であり,習癖やストレスの頻度が高いほど症状発現に影響していることが示唆された.

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© 2004 一般社団法人 口腔衛生学会
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