口腔衛生学会雑誌
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原著
人工口腔装置におけるスクロースのう蝕原性に及ぼす二糖類キシロシルフルクトシドの影響について
鴨田 剛司今井 敏夫佐藤 勉今井 奨西沢 俊樹花田 信弘
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2006 年 56 巻 3 号 p. 281-288

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抄録
甘味二糖類キシロシルフルクトシド(XF)が歯面へのミュータンスレンサ球菌の付着や,非水溶性グルカンの合成を効果的に阻害することが報告されている.本研究はin vitroの実験系と,う蝕誘発過程に重要なバイオフィルム形成,バイオフィルム直下のpH,エナメル質脱灰度を同時に検討できる人工口腔装置による評価系を用いて,XFのう蝕誘発性およびスクロースのう蝕誘発性に及ぼすXFの抑制効果を検討した.ガラス試験管に1%スクロースと1〜5%XFをそれぞれ含む培地に,S. mutans MT8148を植菌し,培養を行った.その結果,XFはガラス管壁付着性の非水溶性グルカン量と菌体量を濃度依存的に抑制した.また人工口腔装置において,1%XFは1%スクロース存在下における人工バイオフィルム形成やエナメル質脱灰度は抑制しなかったが,2.5%XFは人工バイオフィルム直下のpHをほとんど低下させず,人工バイオフィルム形成量,エナメル質脱灰度を有意に低下させた.以上のことから,XFは濃度によってスクロースのう蝕誘発性を部分的に抑制することが示唆された.
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© 2006 一般社団法人 口腔衛生学会
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