口腔衛生学会雑誌
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原著
家庭内喫煙者の有無と幼児う蝕の関連性について
中山 佳美森 満
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2008 年 58 巻 3 号 p. 177-183

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抄録

北海道の中でも,成人の喫煙率の高い十勝地域の幼児を対象に,家庭内喫煙者の有無とう蝕有病との関連性について検討した.調査に協力した十勝地域16町村の平成18年度の1歳6か月児歯科健康診査の全受診者1,317人,3歳児歯科健康診査の全受診者1,391人のデータを収集した.1歳6か月児のう蝕有病者率は5.2%,3歳児は29.8%であった.喫煙者のいる家庭は,1歳6か月では722件(54.8%),3歳児では824件(59.2%)であった.う蝕経験の有無を目的変数として,ロジスティック回帰分析での単変量解析を行った.この結果,う蝕と関連のあった要因は,1歳6か月児では,寝る前や夜間の授乳,おやつ時間の規則性,保護者の仕上げ磨き習慣,家庭内での喫煙者などの8要因で,3歳児では,保護者の仕上げ磨き習慣,家庭内での喫煙者などの12要因であった.これらの単変量解析で有意であった変数を用いて,stepwise法による多変量解析を行った結果,1歳6か月児は,寝る前や夜間の授乳がある児は,ない児に比べて,う蝕のある児が多かった(OR=3.2,95%CI:1.8-5.6).3歳児では,家庭内での喫煙者がいる家庭の児は,喫煙者がいない家庭の児に比べて,う蝕がある児が多かった(OR=1.5,95%CI:1.04-2.0).家庭内喫煙者を減らすことは,子どもの歯の健康を推進するためにも重要であると考えられた.

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© 2008 一般社団法人 口腔衛生学会
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