口腔衛生学会雑誌
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名古屋市における業態および街区別にみたデンタルフロスの販売状況
中村 文彦平山 義洋森田 一三外山 敦史中垣 晴男
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2009 年 59 巻 3 号 p. 207-214

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抄録

歯科医師がデンタルフロスの市販状況を患者に情報提供することは,患者が的確な購入場所を選択するうえで重要であると思われる.本研究の目的は販売店舗の業態や住宅街とオフィス街の街区の違いにより,市販のデンタルフロスの取り扱いがどのように異なるかを明らかにすることである.調査対象地域は,名古屋市の住宅街およびオフィス街から調査地区として4km^2の範囲を地図上にて無作為に選んだ.調査対象の店舗の種類は薬局,スーパーマーケット,コンビニエンスストア,その他に分類した.その結果,デンタルフロスを扱っている割合は,住宅街ではスーパーマーケットおよび薬局が高く,オフィス街では薬局が高かった.デンタルフロスを販売している店舗において1店舗あたりで扱っているデンタルフロスは,薬局では7種類を超えていたが,コンビニエンスストアでは1種類ほどであった.コンビニエンスストアでは,柄つきでないデンタルフロスを扱っている割合は5%以下で,薬局では6割以上が扱っていた.したがって,患者にデンタルフロスの購入店の情報を提供する場合,柄つきでないものを勧める場合は薬局での購入を勧めることが適切である.住宅街では,柄のついているデンタルフロスについては薬局と同等にスーパーマーケットを勧めることができる.オフィス街のコンビニエンスストアは柄のついているデンタルフロスを勧める場合以外には不適切であると結論された.

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© 2009 一般社団法人 口腔衛生学会
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