口腔衛生学会雑誌
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原著
リスク発見・保健指導重視型の成人歯科健診プログラムの保健指導における行動目標の設定と達成度
石川 裕子安藤 雄一八木 稔大内 章嗣岩本 彩佐藤 徹深井 穫博池主 憲夫
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2012 年 62 巻 5 号 p. 462-472

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抄録

 行動目標は自己効力感を高める工夫として成人歯科健診プログラムで使用されている.著者らはすでに本プログラムで口腔保健行動の変化が生じたことを報告したが,本研究では行動目標の設定および達成状況の実態を示すことを目的に記述疫学を中心とした分析を行った.

 調査対象は本プログラムのテスト事業で,データが完備している4都県(東京都,愛知県,宮城県,高知県)の事業所における245人(平均年齢40.4歳,標準偏差;11.0)とした.行動目標は1人あたり1から3項目,総計485が設定された.これを内容の類似性により,「歯磨き,歯磨き方法」「補助道具」「歯口清掃その他」「歯科受診」「食事・食事その他」「身体・運動」「禁煙」「その他」「不明」の9つの大項目と各1~9つの小項目に分類した.行動目標の達成度は受診者が自己評価し,行動目標の分類区分ごとに算出した.

 設定率が最も高かったのは「補助道具」で受診者の58%が設定し,達成率も62%と高かった.「歯科受診」は設定率が32%で,達成率は29%と低かった.事業所間の達成度の比較では,全体および「補助道具」「歯磨き・歯磨き方法」「歯科受診」の3つの大項目で有意差が認められた.また,受診者の年齢構成や指導方法は各事業所で特徴があったことから,行動目標と達成には,受診者の特性と指導者の指導内容が関わっている可能性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人 口腔衛生学会
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