口腔衛生学会雑誌
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歯学部学生の喫煙習慣と心理的健康感との関連
谷口 奈央仲西 宏介米田 雅裕埴岡 隆廣藤 卓雄
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2015 年 65 巻 5 号 p. 422-425

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抄録

 喫煙と健康との関係について,最近では身体的健康だけでなく精神的健康についても言及されるようになった.本研究では,福岡歯科大学口腔歯学部6年生を対象にPOMS短縮版を用いて心理的健康感を評価し,喫煙習慣との関係を検討した.
 調査対象者51名のうち本人より同意を得た50名に対して結果の集計および分析を行った.喫煙習慣はアンケートにて調査し,ニコチン依存の有無はTobacco Dependence Screenerを用いて判定した.心理的健康感の評価にはPOMS短縮版を利用し,「緊張-不安」,「抑うつ-落込み」,「怒り-敵意」,「活気」,「疲労」および「混乱」の6尺度の得点で比較した.
 喫煙習慣は,喫煙17名(34%),過去喫煙1名(2%),ためし喫煙4名(8%),喫煙未経験28名(56%)だった.喫煙群(喫煙+過去喫煙)と非喫煙群(ためし喫煙+喫煙未経験)でPOMS短縮版の得点を比較したところ,喫煙群は非喫煙群に比べて「活気」が低く,「抑うつ-落込み」,「疲労」が高かった.さらに喫煙群においてニコチン依存の有無で比較したところ,全尺度についてニコチン依存群は非ニコチン依存群よりも得点が高く,特に「抑うつ-落込み」,「疲労」および「混乱」の得点が高かった.以上より,喫煙習慣と心理的健康感には関連があり,ニコチン依存の有無によっても違いがあることが示唆された.

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© 2015 一般社団法人 口腔衛生学会
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