口腔衛生学会雑誌
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札幌市の保育園児の乳歯う蝕保有状況とう蝕に関連するリスク因子の検討
野川 敏史竹原 順次中村 公也本郷 博久三宅 亮高橋 大郎兼平 孝
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キーワード: う蝕, 保育園児, リスク因子
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2020 年 70 巻 4 号 p. 222-230

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抄録

 本研究では札幌市の保育園の乳幼児を対象として,各年齢層でのう蝕の保有状況を明らかにし,それぞれのう蝕保有に関連するリスク因子を検討した.

 2018年5月から7月の間に北海道札幌市の16保育園で歯科検診を受けた園児の口腔内診査および生活状況に関するアンケート結果を収集し,う歯の有無に関してロジスティック回帰分析を行った.

 対象者1,764名のうち分析対象となった園児は1,537名(男児730名,女児698名,アンケート記載漏れのため性別不明109名)で,各年齢層における人数(う蝕保有者率)は0歳児32名(0%),1歳171名(0%),2歳児257名(1.2%),3歳児350名(9.4%),4歳児320 名(24.7%),5歳児330名(29.7%),6歳児77名(49.4%)であった.3, 4歳では,う歯保有に有意に関連する項目は含糖飲料の月4回以上の摂取,その他のう蝕リスク習慣があるおよび男児で,オッズ比がそれぞれ1.69(p=0.046),2.08(p=0.016)および1.84(p=0.007)となった.5, 6歳ではう歯保有に有意に関連する項目は,「仕上げ磨きを毎日はしない」で,オッズ比が5.08(p<0.001)であった.

 以上からう蝕保有のリスク因子は各年齢層で異なることが示され,各年齢層に合わせた保健指導が重要であることが示唆された.

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© 2020 一般社団法人 口腔衛生学会
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