口腔衛生学会雑誌
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症例報告
つまようじ法を含む術者磨きと保健指導による口腔健康管理を行い口腔粘膜疾患が寛解した1症例
今岡 美佐子丸山 貴之江國 大輔
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2025 年 75 巻 3 号 p. 156-163

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抄録

 本症例の患者(男性,初診時45歳)は,34と36部の頰側歯肉の疼痛を主訴として2016年12月に歯科医院を受診した.同部に白い網状斑を認め,34と36部の口腔粘膜疾患(口腔扁平苔癬様の白色病変)・中等度歯周炎と診断した.初診時の歯周状態は,平均歯周ポケット深さが3.16±0.26mm,歯周ポケット深さ4mm以上の部分が8%,プロービング時出血が36%,Periodontal Inflamed Surface Area (PISA) は,590.3mm2であった.歯の動揺はなかった.歯周基本治療を開始した.34と36部の痛みが取れた2回目の来院時に,つまようじ法による保健指導を行った.歯周治療の際には,歯科医師によるつまようじ法を用いた術者磨きに加えて,ステロイド軟膏・ベンゼトニウム塩化物洗口剤の処方も行った.2021年10月には,口腔粘膜疾患が寛解した.2022年10月の最終評価時には,平均歯周ポケット深さが 3.08±0.38mm,PPD 4mm以上の部分が4%,プロービング時出血が0%,PISAが0mm2に改善した.以上のことから,つまようじ法を含む術者磨きと保健指導による口腔健康管理を行い口腔粘膜疾患が寛解した.

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