口腔衛生学会雑誌
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フッ化物と各種歯磨剤成分との適合性に関する基礎的研究
第2報 18F, 113Snによるフッ化物配合歯磨剤の歯牙表面へのフッ素, スズのとりこみ量と耐酸性効果に関する研究
赤田 弘正樋出 守世岡田 昭五郎永井 充
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1972 年 22 巻 4 号 p. 367-374

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抄録

放射性の18F, 113Snで標識したNa18F, 113Sn2P2O7を配合したフッ化物水溶液および歯磨剤を作り, 健全エナメル質表面に作用させた場合の, とりこみフッ素量, スズ量を測定し, その耐酸性効果を比較検討した。
使用した薬液の組成は, (a): 0.2%NaF水溶液 (pH7), (b): 0.2%NaF-0.1M・H3PO4水溶液 (pH4.2, 3.5, 3.0), (c): (b) の歯磨剤 (pH4.2), (d): 0.2%NaF-0.1M・H3PO4-1%Sn2P2O7水溶液 (pH4.2), (e): (d) の歯磨剤 (pH4.2), (f): 0.2%NaF-0.1M・H3PO4-0.1%Sn2P2O7水溶液, である。なお, (c), (e) の歯磨基剤はIMP (不溶性メタリン酸ナトリウム) である。
その結果, 中性NaF水溶液を作用させた場合に比べて, これにリン酸を加えてpHを低くした場合は, フッ素のとりこみ量が著るしく増加した。このNaF-H3PO4に歯磨剤成分を配合した場合およびSn2P2O7を加えた場合は, NaF-H3PO4水溶液作用の場合に比べてフッ素のとりこみ量は減少した。しかし, エナメル質の耐酸性はSn2P2O7を添加した場合には増強された。Sn2P2O7をNaF-H3PO4水溶液または歯磨剤に配合した薬液では, 調製後日数を経過した薬液を作用させると, スズのとりこみ量の減少がみられ, 耐酸性も減弱することが認められた。これらの水溶液または歯磨剤を反復作用させることにより, フッ素, スズのとりこみ量は増加の傾向が認められた。

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