周期律第III族のA亜族に属する希土類元素のランタンは, S. mutansを感染させたハムスターのう蝕病巣の形成を抑制する作用がある。
ランタン溶液をハムスターに飲料水として自由に飲用させた場合の口腔内の総菌数, 総レンサ球菌数, 乳酸桿菌数, S. mutansの菌数の推移を検査したところ, カリエス食と30μg/mlのランタン溶液では, S. mutansの出現時期が遅延し, その菌数も減少する傾向が認められる。
S. mutans B13 (d) から抽出したグルカン合成酵素 (GTase) と蔗糖の存在下におけるS. mutans, 乳酸桿菌, 放線菌, 酵母様真菌の加熱処理菌体の平滑面への付着能を, ランタン溶液で処理を行なったときと比較した。
20-40μg/mlのランタン溶液で処理すると何れの菌種でも付着率の低下することが認められた。