昭和54年4月から7月の間に, 東京都中央区管内7保育園, 岩手県平泉町, 沖縄県南大東村の1~5歳の幼児1,132名の歯科検診を行った。
う蝕罹患者率, 1人平均う歯数, 重度う歯所有者率, 1人平均重度う歯歯数, う歯処置率, 乳歯う蝕罹患型の割合によってこの三地域を比較検肘したところ, いずれの指標でも南大東村の幼児のう蝕擢患状況が最も悪く, 平泉町はほぼ全国平均値に近く, 中央区が一番よいという結果であった。この結果は, 最近都市部より郡部の方がう蝕は多いという報告と一致している。また, 乳歯のう蝕罹患状況が悪い地域では第1大臼歯は早期に出醸し, う蝕に罹患する率も高いことが明らかになった。
乳歯う蝕蔓延の著しい地域では, 第1大臼歯の早期出銀, 早期う蝕罹患, さらに永久歯のう蝕蔓延につながることが憂慮されると考えられた。