口腔衛生学会雑誌
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青少年における齲蝕有病の1975~91年の経年的変化
仙台市某高等専門学校の15~19歳学生について
千葉 潤子
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1994 年 44 巻 5 号 p. 675-687

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抄録

近年, 多くの先進工業国で, 永久歯齲蝕が非常に減少している。そこで, 我が国の青少年における永久歯齲蝕の動向を調査するために, 仙台市内某高等専門学校の15~19歳の男子生徒1387名について, 1975年から1991年の間の齲蝕有病状況の調査を行った。その結果, DMFT指数, DMFS指数は共に各々の年齢群において大きな年次変動を示したので, チェビシェフの直交多項式を用いて分析を行ったところ, この期間における15~19歳のDMFT指数の年次推移に, 統計学的に有意な2次回帰性が認められ, この調査期間に齲蝕有病が増加し, やがて減少に転じたことが示唆された。次に, DMFS指数を3か年移動平均法で算出したところ, 最大齲蝕量, 即ちピークを各年齢群の年次推移に認めた。さらに, ピーク後における15~18歳の齲蝕傾向線に, 統計学的に有意な負の一次回帰性を認めた。ピーク時は15~19歳で各々1979, 1980, 1981, 1982, 1983年であり, 各年齢のピーク時から1990年までのDMFS指数の変化は, 15歳は13.91から11.08に, 16歳は16.85から13.21に, 17歳は19.17から15.26に, 18歳は21.02から17.97と減少した。従って, 当該青少年では15~19歳にわたって, 1975~91年の間に齲蝕減少が現れ始めたのが確かめられた。今後, 公衆歯科衛生がより推進されフッ化物の使用がさらに普及すれば, この減少傾向はより顕著なものになると予測された。

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