抄録
小児治験の推進には,被験者になる子どもとその保護者の参加へのモチベーションおよび参加中の服薬アドヒアランスに伴う様々な心理社会的側面を把握することが重要である。そこで,治験参加へのモチベーションを促進または阻害する心理社会的要因を明らかにするため,医療機関と教育機関の子どもとその保護者を対象者に小児治験の参加に対する意識調査を行った。2007年5月1日~8月31日に滋賀県内の5つの医療機関と京都府内の教育機関3施設,茨城県内の教育機関2施設に通う子どもとその保護者を対象に小児治験に関する意識調査を実施した。回答者個人の属性と「小児治験を知っていたか」,「治験に参加するか」を質問し,参加する,しないとした理由を尋ねた。さらに参加意思を高揚する条件について尋ねた。回答に含まれるキーワードを基に各回答を分類し,治験参加モチベーションを促進する要因および阻害する要因の抽出を試みた。治験に参加するとした理由は,意思,感情,期待,経験,状況,認識のカテゴリーに分類され,その内意思が最も多かった。治験に参加しない理由は,意思,感情,疑問,経験,状況,認識に分類され,感情の中の恐怖感が最も多かった。治験に参加するための条件は,安全,危機,説明,內容,利益に分類され,その内安全が最も多かった。他人へ貢献したいという意思や,新しい薬ができるかもしれない,病状が改善するかもしれないという期待感が治験参加を促進する大きな要因となっていること,治験に対する不安感や恐怖感などの感情が治験参加を阻害する要因となっていることが明らかとなった。以上より,治験参加を促進するためには,安全性や疑問点に対する説明と同時に,子どもと保護者の心理的サポートが重要課題であると考えられた。