抄録
UDP-グルクロン酸転移酵素は薬剤代謝の第2相の中心を担う主要な酵素ファミリーである。ヒトUDP-グルクロン酸転移酵素には17の酵素が存在するが,UDP-グルクロン酸転移酵素1A5(UGT1A5)は,遺伝子多型とその役割について詳細な検討はされていない。本研究では日本人におけるUGT1A5の新規多型アレルの発見しその多型の薬剤アレルに及ぼす影響を検討した。方法:日本人健康ボランティア100人のUGT1A5のエクソン1をPCR法で増幅し,ダイレクトシーケンス法で塩基配列を決定した。野生型のUGT1A5のcDNAと多型アレルを持つcDNAを発現ベクターpcR3.1に組込み,それをCOS7細胞に発現させた。UDP-グルクロン酸と1-hydroxypyreneを基質として反応させHPLCでグルクロン酸抱合体をHPLCで測定した。結果:日本人には3つの新規アレルを発見した(UGT1A5*8,UGT1A5*9,UGT1A5*10)。UGT1A5の野生型(UGT1A5*1)は活性が非常に低いのに対し,UGT1A5*8は野生型に比べ非常に高い活性を示した。考察:野生型のUGT1A5は薬剤代謝活性が低く臨床的な意味が明らかでなかったが,多型アレルが非常に高い代謝活性を持つことより、個人の薬剤への感受性や副作用の差異に及ぼす影響が明らかになった。