抄録
2005年5月に勧告された積極的勧奨の差し控えにより,多くのこども達が日本脳炎ワクチンのI期の合計3回の接種を完遂しないままの状態となっている。約5年間を経て勧奨が再開されたが,これらの児における今後の接種をどのように行っていくべきか、検討課題である。こうした標準的な接種スケジュールを逸脱した例においては,日本脳炎ウイルスに対する免疫状態の把握がまずは必要と考えられた。そこで,日本脳炎ワクチンについて,I期の接種が2回または1回のみでII期該当年齢に達している児を対象として、血清中の中和抗体価を測定した。I期の2回の接種を3歳以降で実施して平均7.0年が経過した28例では,抗体価の幾何平均値が1:102.09(真数変換値1:123),日本脳炎の発症阻止レベルである1:10未満が4例(14.3%)であった。また,10例でキャッチアップのための接種後にも抗体価を測定したが,接種前に1:10未満であった3例を含めて抗体価の有意な上昇を確認した。標準的な接種スケジュールを逸脱し,I期を完遂しないまま数年が経過していたとしても,ブースター効果を期待して残された接種を確実に進めていくことが肝要であると考えられた。キャッチアップのための接種の具体的な方法については,今後のさらなる検討が不可欠である。