抄録
今回,バルプロ酸ナトリウム服用母体から出生した児のうち2例で多嚢胞性異形成腎を認めた。そのうち1例では母体のバルプロ酸ナトリウムの服用量は高用量であり,薬物血中濃度も高値であった。また,児は3歳時に精神運動発達遅滞が指摘されており,バルプロ酸ナトリウムの影響は否定できなかった。これまでの報告ではバルプロ酸ナトリウムによる先天異常は特徴的であり,その中で神経管欠損の発現する要因としては,エポキシ体の代謝阻害や葉酸欠乏,フリーラジカルなど多因子が影響することが示されている。他の抗てんかん薬による多嚢胞性異形成腎の発生においてもVPAの奇形発生因子と同様の因子による影響が報告されており,母体のバルプロ酸ナトリウム服用が胎児腎に催奇形的に影響した可能性が考えられた。