抄録
水痘ワクチンは副反応が少なく,比較的安全なワクチンであるが,希にワクチン株により水痘を発症することがある。今回,水痘ワクチン接種後にIgA血管炎を発症し,ステロイド全身投与に伴いワクチン株水痘を発症した一例を経験した。症例は4歳女児。水痘ワクチン接種翌日から下肢の紫斑と腹痛を認め,IgA血管炎の診断で入院した。腹痛に対し長期間のステロイド投与を要した。入院33日目に水疱が出現し,水疱底からの抗原検査で水痘帯状疱疹ウイルスが検出された。水痘ウイルスの遺伝子解析により岡ワクチン由来の株であることが判明した。ワクチン株水痘の報告は少数であるが,免疫不全状態の患児において,潜伏期間が約1カ月程度と野生株による平均潜伏期間よりもやや長い傾向が見られ,本症例も同様の経過であると考えられた。水痘ワクチン接種後にステロイド全身投与など免疫抑制療法を行う際には,野生株の潜伏期間を超えたワクチン接種後約1カ月頃にワクチン株水痘を発症する可能性があるため,注意が必要である。