日本小児臨床薬理学会雑誌
Online ISSN : 2759-9256
Print ISSN : 1342-6753
シクロスポリンA(CyA)内服中の全身エリテマトーデス母体から授乳した児のCyA血中濃度を指標に生ワクチン接種の安全性を検討した1例
鈴木 秀明近藤 洋一榊原 隆志滝本 典夫足立 守三原 由佳山田 緑
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2019 年 32 巻 1 号 p. 143-146

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抄録
シクロスポリンA(CyA)を内服する免疫抑制下において,生ワクチン接種は発症リスクが高いとされ,現在は禁忌となっている。今回,母乳育児を継続する全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)患者の乳児CyA血中濃度を測定し,生ワクチン接種の可否を検討した。3ヶ月齢の乳児が2回目の経口弱毒性ヒトロタウイルスワクチン(生ワクチン)接種の問診時に,20代SLEの母親がCyA100㎎を服用中であることが判明した。医師と協議のもと,乳児への生ワクチン接種に対するCyAの影響が懸念され,CyA濃度を測定した。CyA服用後7.5時間の母親の血中濃度と母乳中濃度ならびに母乳摂取後2.5時間(CyA服用後7.5時間後)の乳児血中濃度は,各々,140.6,279.9ng/mL,測定感度以下(<30ng/mL)であった。翌週に再度同条件のCyA濃度は,各々,152.3,236.1ng/mL,測定感度以下であった。また,母乳中CyA濃度は,内服後8,9.5,16.5,23,次回内服後2,5.5,7.5時間値が,各々,362.7,198.9,89.0,65.7,114.0,412.1,236.1ng/mLであった。母乳中濃度の最高値による理論的乳児薬物摂取量は0.062㎎/kg/日で,相対的薬物摂取量は3.2%であった。本例では,母体CyA服用からの授乳児の血中濃度は検出限界以下であり,有害事象を発生する可能性は極めて低いと考えられた。
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© 2019 日本小児臨床薬理学会
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