抄録
日本では小児用医薬品のドラッグ・ラグやドラッグ・ロスが大きな問題となっている.これらも要因のひとつではあるが,国内の臨床現場では,小児の医薬品使用に関して多くの課題が存在し,筆者らは,これまでAMED医薬品等規制調和・評価研究事業である「小児医薬品の早期実用化に資するレギュラトリーサイエンス研究」の分担研究として,「小児用製剤の国際調和に向けた医療現場の課題整備に関する検討:臨床薬学の立場から」を担当し,臨床現場における小児用製剤に係る課題を抽出するとともに,課題解決のための検討を行ってきた.本研究において,課題のひとつとして医療機関における小児用医薬品の使用に関し,海外から導入された医薬品の採用が進んでいない実態を明らかにした.理由として,患者(患児)自身が秤量を行う取り扱い性,残液廃棄による損失,採用医薬品の一増一減ルールが挙げられた.また,小児において課題となっている服用性の改善を目的として,スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤の服用性調査を行い,これをきっかけに,本剤の小型錠を開発することができた.加えて小型錠により小児の服用性が向上することを明らかにし,低年齢児における剤形の選択肢となり得ることを示した.さらに,海外では,compounding による品質確保のための情報整備が積極的に行われている一方で,国内においては散剤として作製される院内製剤の品質確保に関する検討が必ずしも行われていないことから,国内で小児のために剤形加工される頻度の高い8品目における院内製剤の安定性を確認した.臨床現場からの情報発信によって,小児用製剤使用の課題解決に導けることは数多くある.今後も積極的に臨床現場から情報発信を行っていくべきである.