日本歯内療法学会雑誌
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総説
垂直性歯根破折歯の保存的治療について
前田 宗宏五十嵐 勝
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2021 年 42 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

抄 録 : 垂直性歯根破折 (Vertical Root Fracture : VRF) が長期間放置されると, 当該歯根の破折線に沿って歯周組織の広範な破壊が進行する. このため, 単根歯であれば抜歯, 大臼歯ではルートアンプテーションやヘミセクションなどの対応が普遍的にとられてきた. 1980年代以降では, 4-META/MMA-TBBレジンをはじめとする接着修復材料の開発が進むとともに, 破折歯根や支持歯槽骨の状態により, 破折歯根を口腔内で接着する方法, 破折歯根の口腔外接着再植法といったVRFの保存的治療法が試みられ, さまざまな知見が得られてきた. 歯周組織の炎症が拡大する前であれば保存的治療法の予後も良好となることが報告されている. 加えて, 近年普及が著しいCBCT, 歯科用マイクロスコープ, 超音波振動装置などを応用することで, 新たな展開も期待されている.

 歯内療法医としてはVRF治療の現状を踏まえ, 可能な限り歯の延命を図ることが重要と考える. 本稿ではVRFの今日的な保存的治療についてまとめてみた.

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© 2021 一般社団法人 日本歯内療法学会
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