環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
有害大気汚染物質の二重測定の評価
柏平 伸幸泉川 泰三吉村 有史平本 幸子根津 豊彦田邉 潔森田 昌敏
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 11 巻 1 号 p. 1-9

詳細
抄録
有害大気汚染物質測定における精度管理項目としての二重測定の判定基準 (2個の測定値の差が平均値の30%未満) の妥当性について室内再現許容差との比較から検討した。
室内再現許容差は測定の測定精度に比例するが, 算出式からは平均値が定量下限値では室内再現許容差率は28%となる。一般に有害大気汚染物質測定における室内再現許容差率の約42%が二重測定の変動率30% (判定基準) に相当し, この時の相対標準偏差は約15%未満となり, 注意深く分析すれば達成できる。
実際の有害大気汚染物質の内, 揮発性有機化合物 (VOC) のキャニスター法では比較的容易に判定基準 (30%以下) を達成できるが, 固体吸着捕集法やアルデヒド類ではブランク値のため30%を超えるものもある。しかし, ブランク値等に注意すれば有害大気汚染物質の二重測定の結果を判定基準の30%以下にすることは比較的容易であり, 判定基準として30%は大体妥当と思われる。
しかし, 低濃度の測定やダイオキシン類のように測定手法が複雑な項目については判定方法や判定基準の検討の余地はあると思われる。
著者関連情報
© 日本環境化学会
次の記事
feedback
Top