環境化学
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最新号
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報文
  • 山中 陸, 池田 匡滋, 吉永 淳, 高澤 嘉一, 柴田 康行
    原稿種別: 報文
    2025 年35 巻 p. 1-7
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/06
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    ある小規模下水処理場をめぐる殺虫剤フィプロニルの挙動について調査した。処理場流入水及び処理後の放流水を月1回1年間採取し,併せて処理水放流先の小河川の河川水を,処理場の上流側・下流側から採取した。これらの水試料中のフィプロニルおよび分解物のフィプロニルスルホン,フィプロニルスルフィド,フィプロニルデスルフィニルの4種(あわせてフィプロニル類という)の濃度をLC-MS/MSで定量した。下水処理場流入水および放流水全試料でフィプロニルが検出された(中央値 1.8 ng/Lおよび 2.1 ng/L)が分解物の検出頻度は低かった。流入水と放流水中フィプロニル類の濃度間に統計学的な差はなく,下水処理によるフィプロニル類の除去は効果的ではないことが示唆された。一方,下水処理水の放流先の小河川中でも,フィプロニルの検出頻度は高かったが,下水試料よりも低濃度であり(上流・下流側中央値 0.22 ng/Lおよび 0.41 ng/L),分解物の検出頻度・検出濃度とも下水試料より高く,フィプロニル類の組成は下水試料とは異なった。下水処理場上流・下流のフィプロニル類濃度に有意差はなく,当該河川水中フィプロニル類濃度に下水処理場の影響は見出されなかった。

研究ノート
  • 中川 修平, 富澤 慧, 古閑 豊和, 高橋 浩司
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年35 巻 p. 8-15
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/12
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    近年,水環境中のガドリニウム(Gd)濃度が他の希土類元素と比較して特異的に検出していることが報告されている。Gd化合物の形態別分析法として,HILICカラムとICP-MS法を組み合わせた方法が報告されている。本研究では,環境分析で一般的に用いられるICP-MSの仕様で対応可能な,イオン交換カラムを用いた水系移動相によるGdの化学形態別分析法を検討した。分析カラムにGL-science SYPRON AX-1,移動相に炭酸緩衝液を用いた結果,濃度の異なる移動相を切り替えることにより4種のガドリニウム化合物(Gd-DTPA-BMA, Gd-BT-DO3A, Gd-DTPA及びGd-EOB-DTPA)が分離できた。本分析法による河川試料のMDLは,Gd-DTPA-BMA: 2.7 ng of Gd/L, Gd-BT-DO3A: 4.4 ng of Gd/L, Gd-DTPA: 1.3 ng of Gd/L及びGd-EOB-DTPA: 3.3 ng of Gd/Lと既報と同程度であり,河川試料に対して十分適応可能であった。一方で,海水試料は, Gd-DTPA-BMA及びGd-BT-DO3Aは試料に共存する塩の影響を受けたため算出できず,分析法の改善が必要である。

技術報告
企画論文
  • 雑賀 力弥, 松田 宗一郎, 鵜池 杏菜, 林 佳奈, 大矢 悠幾, 尾崎 宏和, 大地 まどか, 渡邉 泉
    原稿種別: 企画論文
    2025 年35 巻 p. 24-33
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
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    本研究は,汚染土壌におけるCr(VI)の還元および再酸化挙動の課題を取り上げ,共存する微量元素がCr挙動に与える影響を明らかにすることを目的とした。Cr(VI)は毒性および移動性が高く,環境リスクを低減するためにFe(II)などでCr(III)に還元する処理が行われているが,処理後にCr(VI)が再溶出する現象が問題となっている。本研究は,東京都江戸川区の汚染地で検出された31種類の微量元素がCr挙動に与える影響を検討した。とくに,複数の酸化数で安定に存在するV(IV),Mn(II),As(III)およびSb(III)の4元素に注目し,異なる条件下で各4元素がCr挙動に与える影響を解析した。その結果,Mn(II)およびV(IV)はCr(III)の再酸化を促進し,より毒性の高いCr(VI)の再溶出を引き起こすことが明らかとなった。また,As(III)はCr(III)の溶解性を高め,アルカリ性環境でCr(III)溶出を促進する可能性が示唆された。これらの結果から,共存する微量元素がCrの挙動に与える影響を考慮することが,長期的なCr(VI)浄化の安定性向上に不可欠であることが示された。今後は,汚染土壌の適切な管理と持続可能な浄化戦略の再構築が必要であろう。

調査報告
報文
  • 今泉 圭隆, 小山 陽介, 中島 大介, 高澤 嘉一, 鈴木 規之
    原稿種別: 報文
    2025 年35 巻 p. 39-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/11
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    電子付録

    自然災害の増加に伴い,有害化学物質の環境中への排出事象の激甚化が危惧されている。著者らはこれら事象への対応のための意思決定支援ツールとして情報基盤D.Chem-Coreを公開した。本研究では,本情報基盤の有用性評価などを目的として,仮想的な災害・事故時に必要となる情報の収集や調査方法などを検討する,地方環境研究所職員を主たる参加者とした机上演習を実施した。災害・事故時対応において重要な環境調査計画の立案に着目し,情報基盤等がどの程度計画立案に貢献したか評価するとともに,参加者アンケートにより主観的な評価も実施した。机上演習では,各班で自由に事故シナリオを設定した上で,情報基盤等を利用して情報収集しつつ対応方針などを議論・決定した。有用性評価のために,環境調査計画立案に関連する11項目を整理し,各班での必要情報の入手状況を整理した。必要情報を入手できた割合を有用率と定義し,項目別有用率を算出したところ,需要がなかった項目以外では全て有用率が0.5以上になった。アンケートの回答者の9割から本情報基盤を災害・事故時に利用したいという高い評価も得た。これらにより本情報基盤の高い有用性を確認した。

技術報告
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