環境化学
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東京湾における魚類のダイオキシン類, PCBs汚染
飯村 文成佐々木 裕子津久井 公昭吉岡 秀俊東野 和雄竹田 宜人葛西 孝司
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2002 年 12 巻 2 号 p. 343-352

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抄録
東京湾のうち湾奥部 (都内湾) における魚類, プランクトン, 海水, 底質のダイオキシン類及びPCBsを測定し, 汚染実態, 汚染源, 汚染経路を検討した。このうち魚類のダイオキシン類濃度は4.5~18pg-TEQ/g-wet, PCBs濃度は<100~460ng/g-wetの範囲にあり, 環境省が調査した全国の結果と比べ, 都内湾の濃度レベルが高いことが認められた。魚類及びプランクトン中のダイオキシン類濃度 (TEQ) の70~92%はCo-PCBが占めたが, この割合は同一魚種の全国平均と比べかなり高かった。また, 魚類や底質中のPCBs濃度とCo-PCB濃度との間には相関性が見られ, いずれの媒体でもCo-PCBの組成はPCB製品の組成に類似していた。底質のダイオキシン類の組成からは, 焼却に加え, 農薬不純物の影響が認められたが, 都内湾の魚類, プランクトンのダイオキシン類汚染にはPCB製品が大きく影響していることが示唆された。東京湾の中でも都内湾の底質や魚類の汚染レベルが高い原因としては, この地域に河川が集中し, 過去に環境中に排出されたダイオキシン類, PCBsが河川から流入・堆積しているためと推定された。
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© 日本環境化学会
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