環境化学
Online ISSN : 1882-5818
Print ISSN : 0917-2408
ISSN-L : 0917-2408
疎水性化学物質の魚類における濃縮性に及ぼす分子の立体的かさ高さの影響について
仲井 俊司斎藤 昇二瀧本 善之有本 洋一
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 15 巻 1 号 p. 27-42

詳細
抄録
化学物質の水から魚への直接濃縮性 (Bioconcentration) は, 化学物質の疎水性の影響を受ける一方で, その立体的かさ高さによる生体膜透過の制約を受ける。ここではこの後者の立体効果による制約に関する最新の知見を調査した。そして疎水性化学物質は主に魚の鰓の呼吸細胞膜を単純拡散の機序により透過することから, 立体効果は拡散性の低下と関係付けられることが明らかになった。また, MW, MV, Deff, Dmaxなどの様々な立体効果の記述子を用いて, これに関する閾値の提案が試みられており, その中でMW700は化審法の既存の濃縮性データ等に良好に適用できることが示されたことから, 再現性が高く, 簡便かつ実用的な閾値になり得るものと考えられた。但し, 密度の大きい元素, 特にフッ素を分子中に高比率で含有する特殊な化学物質には適用できず, MVなどより直接的な立体効果の記述子を併用する必要がある。
著者関連情報
© 日本環境化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top