環境化学
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水中における酸化防止剤 (BHA, BHT) と塩素との反応及び生成物の変異原性試験
滝口 浴津田 紋吉川 沙央里中島 大介後藤 純雄小野寺 祐夫
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2006 年 16 巻 2 号 p. 219-228

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抄録

酸化防止剤: BHAおよびBHTの水溶液を各種条件で塩素処理した。塩素処理液から得られたエーテル抽出物中の反応生成物をGCによって定量し, GC/MSによって定性した。さらに, エーテル抽出物はTA98およびTA100株を用いたAmes試験で変異原活性を調べた。BHAの塩素処理によりベンゾキノン体および脱アルキル化体が主成分として, また, 塩素置換体が微量成分として生成した。一方, BHTの塩素処理では主成分としてBHTの水酸化体 (BHT-OH) が, 塩素置換体が微量成分として検出された。BHAの塩素処理液から得られたエーテル抽出物は, S9mix非存在下, TA100株で弱い変異原活性が認められた。しかし, BHTの塩素処理生成物にはTA98およびTA100株に感受性を示す変異原物質の存在は検出されなかった。これらの反応は化合物に対する塩素のモル比およびpHに強く依存した。

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