環境化学
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関数関係解析によるケミカルマスバランス法を用いたダイオキシン類の発生源寄与率推定法に関する検討
鈴木 貴博山口 晃茨木 剛大野 勝之村山 等澁谷 信雄橋本 俊次柏木 宣久
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2006 年 16 巻 3 号 p. 437-448

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抄録
Fr-CMBを用い, 新潟県内の河川底質及び河川水中のPCDD/Fsについて, 発生源寄与率推定に関する検討を行った。環境試料の組成から, 廃棄物焼却炉排ガス, 過去に使用されていた農薬のCNP, PCPの3つを発生源として想定した。
解析に使用する成分について検討した結果, TEFを持つPCDD/Fs17異性体と1, 3, 6, 8-TeCDD, 1, 3, 7, 9-TeCDD及び4~7塩素化物のothers, 計27成分で, 101の成分を用いた場合と同等の結果を導き出すことができた。
発生源として使用するデータについて検討した結果CNP, PCP中のPCDD/Fsデータをクラスター分析によって集約して発生源データとして用いることで, 整合性の高いデータを得ることができた。
Fr-CMB及びCMBBJ, 両手法による寄与率推定結果を比較したところ, CMB8Jの%massが100に近い場合には, 両手法による寄与率推定結果は類似しており, %massが100から著しく乖離した場合には両手法による結果は相違した。より精密な方法であるFr-CMBでは, 環境試料と発生源組成の測定変動も明示的に扱うことにより, 統計上の矛盾が少なく, 現場の状況に合った寄与率推定結果を導き出せたものと考えられる。しかしながら, 寄与率の妥当性を客観的に示す方法は今のところ用意されておらず, 発生源解析の限界を理解しつつ応用していくことが重要と思われる。
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© 日本環境化学会
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