環境化学
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酵素阻害法による環境中の微量有機リン農薬の検出: 試料調製方法の検討
小野寺 祐夫若林 修一古川 昇小川 正松浦 義昌真鍋 后輝鈴木 忍石倉 俊治鈴木 静夫
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1992 年 2 巻 3 号 p. 547-556

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抄録

水中有機リン農薬の迅速・高感度の分析法として, 試料の化学的酸化処理とコリンエステラーゼ (ChE) 阻害試験を組み合わせた方法について述べる。酸化剤として塩素水を用い, 各種条件下でP=S型有機リン農薬から強ChE阻害活性をもつP=O型への変換反応を検討した。弱酸性 (pH6) 有機リン農薬水溶液に, 20℃で, 活性塩素10mg/Lを15分作用させると化学量論的にP=O型に変換されるので, 各々の試験化合物のChE阻害活性及び検出限界を測定した。その結果, 検出限界の低濃度化 (ppbレベル) を伴う強いChE阻害活性が, ダイアジノン, EPN, フェニトロチオン等, 多数のP=S型有機リン農薬水溶液について観察された。1-300ppbレベルのパラチオン, ダイアジノン及びフェニトロチオンを河川水, 土壌及びキュウリに添加して塩素処理とChE試験を応用したところ, 満足できる定量結果が得られた。

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© 日本環境化学会
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